いよいよ今回の旅の目的地、お酢の蔵元中野商店さんへ。
こちらは、昔ながらの巨大な木桶を使った「静置発酵法醸造酢」にこだわり、
昭和十四年創業以来お酢造りをされている蔵元です。
静置発酵とは、大量生産をおこなう速醸法(6時間ほどで作る)のお酢と違い、
昔ながらの木桶で、まずお酒(どぶろく)作りを行い、
120日以上かけて自然の力で発酵し、熟成したお酢のことです。
この静置発酵でお酢を作っているところはなんと2%のみ。
さらに昔ながらの木桶を使って醸造しているところはもっと少ないそうです。
昔ながらの木桶には発酵に欠かせない「神の菌」が住み着いています。
そして、蔵の中にもお酢の蔵付き菌があり、この2つの菌が中野酢の味の原点だそうです。
お酢は生き物なので、必ず呼吸をします。
生きているお酢達の大切な息吹を感じ、
呼吸を考え、育ちやすい環境作りに努められています。
冬は、菌の発酵状態を見て、木桶に筵(むしろ)を巻いて温めるそうです。
お酢のことを熱く語る中野さん。
そして、こちらは生酢。
酸度6度くらいあるそうですが、まろやかな酸味で美味しい。
ツンとした香りもなく、本物のお酢は違う!と実感。
こだわりの国産玄米を100%使用し、麹付けから酒醪まで一貫して手造り。
この醸造工程によって、やわらかで鼻にツンとこない落ち着いた香りと
まろやかなコクのあるお酢本来の味わいが醸し出されています。
そして、こちらが発酵菌。
ゆっくり発酵、じっくり熟成、古式静置発酵による100%天然のお酢は
芳醇でまろやかな旨みがあり、本当に美味しいです。
お酢も人間と同じで、じっくりのびのび呼吸しながら育ったお酢は、
角がなくまろやかになるそうです。
今回、蔵を拝見し、造り手の想いに触れることができ、大変勉強になりました。
お忙しい中、お時間を作ってくださった中野さん、
貴重な機会を作ってくれた友人に感謝しております。
3月15日~21日まで立川高島屋で開催の「味百選」に出店されていますので、
お近くにお住まいの方は、是非この機会に足を運んでみてはいかがでしょうか。
本物にこだわり続けた逸品、おすすめです。